SIMフリーのLTEルーターが注目される理由
~SIMやLTEルーターの基本機能から分かりやすくご紹介~

LTEルーター写真
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近年、IoTの普及とともに産業用のLTEルーターに注目が集まっています。LTEルーターは固定の通信回線がない場所で、通信を用いたIoTシステムを構築するのに欠かせない存在です。

本記事では、LTEルーターやSIMの機能について解説すると同時に、なぜSIMフリーのLTEルーターが注目されるのか、SIMを選ぶ際に気を付けるポイントなどについて分かりやすくご説明します。

ルーターとは?

ルーターとは、異なるネットワーク、いわゆるWAN(Wide Area Network)とLAN(Local Area Network)を相互に接続するネットワークの中継器のことです。例えば、ご自宅やオフィスでインターネットを使う際、Wi-Fi※ルーターに接続することがあると思います。この場合ですと、まずスマホやパソコン(PC)などの機器が無線でルーターに接続されます。これにより、ルーターに接続されたスマホやPCは、LAN(Local Area Network)に接続できたことになります。そして、このルーターが固定回線やモバイル回線を使い、世界中どこでも繋がれるインターネット、つまりWAN(Wide Area Network)に出ることができるので、スマホやPCがいわゆるインターネットに接続され、Webサイトの表示などができるという仕組みになります。簡単に電話で例えると、LANが内線でWANが外線、ルーターは電話の交換機にあたります。まずは、ルーターは「ネットワークの中継器」であると覚えておきましょう。

※Wi-Fi:無線でLAN(Local Area Network)にアクセスする技術のこと。「無線LAN」と呼ばれることもある。

なお、ネットワークの構成につきましてはこちらの記事でも詳しく解説しておりますのであわせてご覧ください。

LTEとは?

LTEとはモバイル通信回線の一種です。モバイル通信回線は携帯電話回線ともよばれ、国内ではdocomo、au、ソフトバンクの3大キャリアの回線が有名です。これにより、固定通信のように限られた場所ではなく、国内の幅広い箇所で、インターネットが使えるようになりました。

モバイル回線にはLTEの他にも3Gや5Gなどの規格が存在します。これまで、トラフィックの増加や送信するデータ量の増加に応じて新しい通信の規格が生まれてきたためです。これまでの通信の世代やモバイル通信の種類についてお伝えします。

1G、2G

1980年に携帯電話のサービスが始まり、この際に最初の通信規格である「1G」が誕生しました。以降、約10年おきに新しい通信規格が生まれています。モバイル通信が一気に実用的になったのは「3G」以降の通信規格になります。

3G

3Gは2000年ごろに登場した初の世界標準規格です。3Gの登場により、それ以前の世代ではできなかった1台のモバイル端末を世界中で使うことができるようになりました。また、通信速度についても以前の世代と比較する大きく改善されています。2000年代に入ると、高速化技術により通信速度は10~20Mbpsに到達しました。

4G(LTE)

3Gの通信は3.9Gにあたる「LTE(Long Term Evolution)」でさらに高速化されます。このLTEを中間技術として、第四世代である4Gが誕生しました。高機能化したモバイル端末に対応するために、下りの最大通信速度が1Gbpsまで引き上げられました。3Gに代わる通信として、現在主流の規格です。なお、LTEは、かつては3Gから4Gへの移行するための中間技術でありましたが、現在では4Gに含まれる扱いになっており、4Gとほぼ同じものと考えて問題ありません。

5G

5Gは近年発表された最新の通信規格です。下りは最大20Gbpsに到達する超高速の通信規格として期待が集まっています。

LTEルーターとは?

LTEルーターとは、LTE回線を使えるルーターのことです。LTEルーターは、現在主流となっているLTEの通信を使うことができるため、幅広い産業分野で普及しています。特にIoTなどの分野では欠かせない存在です。

LTEルーターでできること

LTEルーターは固定回線が不要であるため、比較的簡単にシステムを構築できる点が評価されています。例えば、防犯カメラシステムや踏切管理システムなど、屋外の環境では固定回線が引かれていないケースも多いため、LTEルーターが活躍します。また、建設工事現場の監視など、利用期間が限られるシーンでも、固定回線をわざわざ引くコストが割に合わないことがほとんどであるため、LTEルーターが役立ちます。

詳しくはこちらの記事でも解説しておりますので合わせてご覧ください。

LTEルーターに欠かせないSIM

LTEルーターは、LTEの通信を行うために、購入したSIMカードをLTEルーターに差し込み、通信を行うための設定を完了させる必要があります。SIMとは「Subscriber Identity Module」の略で、カードの形をしていることが多いことから「SIMカード」とも呼ばれています。これをデバイスに挿入することで、スマートフォンやタブレット、LTEルーターなどといった、通信機能のある様々なデバイスが、モバイル通信回線を使ったデータ通信を行えるようになります。SIMには通信事業者と通信回線を使う契約をした「契約者」の情報が記録されており、この情報を元に通信事業者は通信を行う認証を行い、使った通信量に応じた課金等がなされます。

モバイル通信に必要なSIMにもいくつかの種類があります。以下では、現在利用されている代表的なSIMの種類をご紹介します。

標準SIM

標準SIMは15mm×25mmのサイズのSIMです。3G世代の端末では一般的に使用されていました。4Gが一般的になった現在ではほとんど使用されていません。

microSIM

microSIMは12mm×15mmと標準SIMを一回り小さくしたSIMです。2012~2014年に販売されたモバイル端末には一般的に採用されています。

nanoSIM

microSIMをさらに小さくしたのが、8.8mm×12.3mmのnanoSIMです。2014年以降のモバイル端末には一般的に使用されており、現在では最も主流なSIMです。

eSIM

eSIMは端末本体に埋め込まれているSIMのことです。従来のようにカードを物理的に差し込むことはありません。契約を変更する際は、遠隔で情報を書き換えます。

SIMを選ぶうえでのポイント

産業用LTEルーターには通信の安定性が求められます。この点を踏まえ、LTEルーターで使うSIMを選ぶ際は以下のようなポイントをおさえておきましょう。

利用目的にあったプランを選択する

初期費用として契約事務手数料がかかり、別途月額費用がかかるシステムが一般的です。利用状況に応じて様々なプランを各社用意しています。産業用の通信利用に適したプランを用意している通信事業者もあります。大容量の通信プランが適しているのか、または通信容量が少なくても十分なのか、きちんと検討した上で選ぶことで、最もお得な通信プランを選択しましょう。

速度・安定性に優れている回線を選ぶ

特にIoTシステムで使われるLTEルーターはエッジデバイスから情報を集め、モバイル回線を使ってクラウドに情報を送信します。また、クラウドシステム側から制御の命令を送るケースも多々あります。そのため、通信に時間がかかってしまうと運用に困ることも多く、上り・下りともに速い通信速度が求められます。また、基本的に常時接続が前提としたケースや、緊急時にこそ利用したいといった場合には、安定した回線であることが重要です。そのため、速度や安定性に優れる回線を選ぶのがおすすめです。

複数のキャリアのSIMを用意する

LTEルーターは複数のSIMを挿入・利用できる製品も少なくありません。そうしたタイプのルーターでは、異なるキャリアのSIMを用意しておくのがおすすめです。SIMを利用していると、予期せぬ障害によって通信が止まることがあります。また、通信事業者がメンテナンスを行うことも少なくありません。複数のSIMを用意しておけば、1つのSIMがそうした要因によって利用できなくなった際、別のSIMでの通信に自動で切り替えることもできるので、常時接続を維持することができ、安心です。

SIMフリーのLTEルーターが選ばれる理由

SIMフリーのLTEルーターとは、どこの通信事業者のSIMでも使うことのできる、LTEルーターを指します。SIMは各通信事業者が提供していますが、LTEルーターによっては限られた通信事業者のSIMカードしか使えないことがあります。そのため、SIMやLTEルーターを選ぶ際には「SIMフリー」であるか確認しておく必要があります。

SIMフリーのルーターには下記のようなメリットがあります。

用途に適したSIMを利用できる

多くの通信事業者が様々な種類、様々なプランのSIMを販売していますが、SIMはLTEルーターを使う限り、常に課金が発生し、継続的に動作し続ける非常に重要なものです。そのため、ご自身の用途にあったSIMを選ぶことが必要です。SIMを選ぶ幅を広げるためにも、SIMフリーのLTEルーターを選択しておくとよいでしょう。

SIMを後から変更できる

LTEルーターを運用していると、後から設置場所や用途を変更する場合があります。こうしたケースでは、SIMも用途にあわせて変更するとよいでしょう。特に、電波が届きにくい場所などに設置する場合には、キャリアを変えなければインターネット接続ができない可能性もあります。また、長期にわたって利用する場合には、技術の進歩や価格体系の見直しなどにより、適したSIMが変わる可能性もあります。その際、最も適したキャリアのSIMに変更できるSIMフリーのLTEルーターが便利です。

通信障害のリスクを低減できる

複数キャリアのSIMカードを挿入して利用できるLTEルーターの場合、異なる通信事業者のSIMカードを利用することで通信障害のリスクを低減し、モバイル回線の冗長化を図ることができます。

まとめ

本記事ではLTEルーターとSIMの基本知識から、なぜSIMフリーのLTEルーターが選ばれるのかを解説しました。皆様がより快適に安心してシステムを利用できるよう、様々な種類のSIMやLTEルーターを比較・検討してみてください。

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なお、アムニモではSIMフリーの「LTEルーター」を販売しております。通信機能はもちろん、LinuxのOSを搭載したモデルや、映像などの大容量のデータを保存可能なストレージを内蔵したデバイス、PoEポート付きモデル、屋外専用モデルなど様々な仕様の商品と、関連するアプリケーションも販売しています。国内で設計・製造しているため保証やサポートも安心してご利用いただけます。少しでもご興味がございましたら、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

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