2024年にISDN(INS)回線終了。 企業への影響と2023年中に対策すべきことを解説

ISDN
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デジタル回線を使った通信技術であるISDNは、2024年でサービス終了となります。一方で、2023年現在もISDNを使用している企業やシステムは少なくありません。この記事では、ISDNのサービス終了の背景や影響、代替サービスなどについて解説しています。また、ISDN終了前に企業がやっておくべきことも取り上げているため、ぜひ参考にしてください。

2024年にサービスが終了する「ISDN(INS)回線」とは?

ISDNとは、デジタル回線を用いて電話・FAXやデータ通信を統合して利用することを可能とする回線サービスのことです。正しくは「Integrated Services Digital Network」といいます。日本語にすると「サービス総合デジタル網」となりますが、一般的には英単語の頭文字をとってISDNと呼ばれています。

ISDNは、電話回線を活用した技術であり、1980年代にNTTがサービスを開始しました。ISDNが登場した時点でインターネット自体は存在していましたが、接続方法はアナログ回線を使用したものがほとんどでした。そのような中でISDNが登場したことで、それまでよりも速いインターネット通信が可能となり、音声品質も格段に向上しました。

このISDN回線の提供は2024年に終了予定であり、現在多くの企業でサービス終了に伴う対応が求められています

ISDN 回線が終了する3つの背景

ISDNがサービスを終了することとなった背景には、以下のような理由があります。

  • 回線設備の老朽化により維持が困難
  • 通信速度が遅い
  • 利用者にとって負担が大きい

当初、ISDNは、画期的なサービスであり、多くの方が利用していました。しかし、現在ISDNよりも高速で利用できる光回線が普及し、通信速度が遅いISDN回線は、使いにくいものとなり、利用者が減少し続けています。また、ISDNで使用されていた公衆交換電話網の劣化に伴い維持が困難になっていることも理由の1つです。

ISDN 回線から IP 網への切り替えまでのスケジュール

ISDN回線は、2024年1月より順次移行を開始する予定ですが、移行に向けた準備は既に行われています。

ISDN回線からIP網への切り替えスケジュール.

ISDN回線終了による企業への影響

サービスの終了に向けた準備が進むISDN回線ですが、現在も企業内のデータのやり取りなどに多く使用されており、その影響は「2024年問題」とされ注目を集めています

2024年問題の影響は多岐に渡りますが、ここでは特に影響が大きいと予測される4つをご紹介します。

EDI(電子データ交換)

EDIとは、発注書や納品書、請求書といった各種書類を専用回線もしくはインターネットなどを使って共有するシステムです。このEDIは、ISDN回線が利用されているケースが多く、サービス終了によってシステムにデータが反映されない、連携が取れないといった問題が発生する恐れがあります。

POS

POSは、「Point of sales」といい、日本語にすると「販売時点情報管理」となります。POSを利用することで、「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」といった記録を商品が販売されたタイミングで集計できます。

このPOSのデータを送信する際にISDN回線を利用しているケースが多く、サービス終了に伴いデータの集計ができなくなる恐れがあります。

警備端末

警備会社が各家庭や企業などに設置した機械警備端末においても、ISDN回線が利用されている場合があります。

警備端末をISDN終了後も継続して利用する場合、移行先としては、冗長化が可能となる「光回線を含むブロードバンド回線+無線回線」や、2社の無線回線を使う「デュアル無線回線」などが候補です。

警備端末は現在も多く稼働しており、移行作業にかかる人員の確保などを踏まえると、十分な以降期間を確保する必要があるでしょう。

銀行ATM

銀行と企業を結び振り込みや引き落としなどができる「ファームバンキング」にもISDN回線は利用されています。「ファームバンキング」の利用者は、メガバンク3社だけでも約10万件以上とされており、後継にあたるサービスの移行には時間がかかるといわれています。

ISDNの終了に伴い、補完策の提供が予定されていますが、ISDNと比較して伝送効率が低下する恐れがあるほか、接続がうまくできない、切り替えが一括で行われるといった理由から、決済が一時的に行えなくなる可能性があります。

ここまでご紹介してきた影響以外にも、データバックを行う際に必要となるWANシステムや病院などが診療報酬を請求する際に使う「レセプトオンライン請求」など、さまざまな業界に影響が及ぶ恐れがあるでしょう。

このような状況を踏まえて、企業では今後どのような対応をすればよいのでしょうか。引き続き具体的な対応策を紹介します。

ISDN回線終了間近!2023年中に企業が確認すべきこと

ここでは、ISDN回線終了に備え、2023年の間に企業がやっておくべきことをご紹介します。

①:利用システムの確認

最初に、現在のシステムの通信回線がISDN回線であるかを確認します。

確認方法としては、使用している機器そのものをチェックする方法に加え、取扱説明書やNTTから送られてくる請求書を確認する方法があります。請求書の場合、「INSネット通信料」という項目があれば、ISDN回線であることがわかります。

②:移行の準備・テスト

次に、代替サービスへの移行準備を進めます。

IP通信に移行することが可能であれば光IP回線やLTE通信が代替サービスとなりますが、機器の種類によって対応できないケースや速度が低下するケースもあるため注意しなければなりません。

準備作業に伴い日常業務に支障をきたす可能性もあるため、テストなどを行いながら手順やスケジュールをしっかりと立てることが大切です。また、必要に応じて取引先などへの周知も行いましょう。

 

③:間に合わないケースの補完策の確認

移行作業に時間がかかり、2024年1月に間に合わない可能性も考えられます。そのような事態に備えて、補完策をあらかじめ確認しておくことも大切です。具体的な補完策の1つとして挙げられるのが、NTTが提供する「切り替え後の INS ネット上のデータ通信」です。こちらを確認しておきましょう。

なお、ISDNの廃止に伴い、ISDNインターフェースのみに対応した機器が使えなくなってしまいます。どうしてもそのような機器を利用し続けなければならない場合の対応策としては、ISDN-IP変換アダプターとLTEルーターを組み合わせることによって、継続して利用できます。次章では、その点について解説します。

ISDN機器の継続利用も可能

アムニモ株式会社では、移行先がLTE通信である場合には、移行先のネットワークを構築のために安価で堅牢なIoTルーターである「コンパクトルーターAC10」を提供することが可能です。

また、ISDN廃止によって、ISDNインターフェースのみに対応したレガシー機器が使えなくなるという問題への対処として、ISDN-IP変換アダプターとLTEルーターを組み合わせることでレガシー機器の継続利用が可能となります。実際に市場で調達できる変換アダプターとしては、甲賀電子株式会社が提供するLAN Adapterという製品があります。

この変換アダプターを用いた下図に示す構成により、BRI(INS64等で利用されるインターフェース)にのみ対応した端末を、LTE網に接続することにより継続可能となるほか、別の変換アダプターを用いて低速専用線からLTE通信を用いたネットワークに置き換える仕組みなどもあります。

2023年になり、ISDN回線の終了も間近となっていますが、まだ対応できていない企業も多く存在します。移行作業は単に回線を変更するだけではなく、膨大な費用や手間がかかるため、既存の機器を活用できる仕組みが必要です。

アムニモ株式会社では、さまざまな産業用途で使用できるIoTルーターを提供しています。ISDN機器の継続利用を検討している方、IoTルーターに関してはご興味のある方は以下よりお気軽にご相談ください。

アムニモサイト運営事務局
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高い信頼性と運用性に優れた自社開発のIoTデバイスとクラウドサービスを組み合わせ、先進の映像・IoT・AIソリューションの提供を通じ、IoTとAIでつながる世界に貢献していきます。コラムにて定期的にお役立ち情報をお届けします。

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