監視カメラ市場で求められる死活監視とは 実施のメリットや実施方法を解説

監視カメラの死活監視イメージ
  • LinkedIn
  • Facebook
  • Twitter

防犯や安全管理、施設の稼働状況の確認など、監視カメラは様々な場所で利用されています。従来の監視カメラは、特殊なカメラに専用の録画機器や操作機器などを接続して、画像の保存やチェック、カメラの操作を行う必要があったので、簡単に設置できるようなものではありませんでした。今では、カメラやネットワーク機器の技術の向上により小型化、低価格化が進み、設置も楽になり、より身近なものとなっています。インターネットを活用して、遠隔からの操作も容易にできるようになりました。

 大変便利な監視カメラのシステムですが、肝心な時に動いていなければ意味がありません。防犯システムや安全管理システムなどでは、24時間365日、休まず監視を続ける必要があります。そのようなシステムで、監視カメラが知らぬ間に停止しているのは大きな問題となります。この問題を解決するのが死活監視です。こちらの記事では、死活監視の概要、死活監視をするメリットや死活監視を実現する方法などについて解説します。

監視カメラにおける死活監視とは

 死活監視とは、実際にその装置が正しく稼働しているかどうか、外部から監視することです。装置はソフトウェアの不具合や商用電源の電圧変動など、様々な理由で突然動作を停止しフリーズしてしまうことがあります。監視カメラも同様に、何らかの理由で停止することがあります。監視カメラが停止すれば、画像情報が入ってこないので、後から必要な情報を確認しようとしても何も録画されていないことになります。停止した監視カメラは、停止原因を確認して修復するか、スイッチを切って電源を入れなおし、再起動して復帰させるなどの対応を取らなければなりません。

 しかし、監視カメラは遠隔地や高所など、人の手の届かない環境に設置されている場合が多く、原因確認や再起動するにも多くの手間と時間がかかり、簡単にはできません。定期的に動作・状態をチェックして、問題が起きないように管理することもできますが、監視カメラのある現地まで行く必要があり、実現は困難です。監視カメラが複数の箇所に設置されていれば、その手間はさらに増えます。

 このような課題を解決するため、監視カメラの死活監視では、監視カメラが正しく動作していることを、遠隔で自動的に判断できます。

死活監視実施の必要性やメリット

 監視カメラが何らかの原因で停止していて画像が記録されていなかったという事例は、実際の現場では頻繁に発生しています。監視カメラが停止していることに気付くのが、実際に録画画像を確認しなくてはいけないような問題が発生した時であることも少なくありません。監視カメラがあるから安心していたのに、長期にわたり機能していなかったのでは意味がなく、監視カメラシステムの管理者や利用者にとっては大きな問題でした。

 このような問題を解決するのが死活監視です。監視カメラのシステムに死活監視の機能を持たせれば、正しく動作しているかを遠隔で常に監視し、停止した際には通知されるので、直ちに停止に気付きます。停止した監視カメラは、遠隔で再起動を実行することも可能です。それでも復旧しない場合は、実際に現場に行って確認・作業することになりますが、停止していないか頻繁に見に行く必要はないので、メンテナンスの効率化を図ることができます。

 死活監視は、監視カメラのシステムを正常に維持し続けるためになくてはならない機能です。死活監視の機能を導入すれば、遠隔地や高所にある監視カメラの稼働状況の可視化が容易になり、効率的なメンテナンスや維持コストの削減につながります。

死活監視を実現する方法

 コンピューターや情報機器の死活監視の例では、Pingコマンドを使用して死活監視対象のサーバーなどにネットワークを通してパケットを送り、応答があるかどうかを確認する方法がよく行われています。監視カメラも、外部から死活監視するためには、ネットワークに接続されていることが必要です。

 通常、監視カメラやセンサーなどのIoTデバイスは、サイズや消費電力の関係などから、インターネットへ直接接続するための機能を持っていません。また、監視カメラで得られる画像データはデータ量が多く、監視カメラが複数ある場合などでは、個々の監視カメラがデータをそのままネットワークに送信してしまうと、クラウド側が大きな負荷をかけてしまうことにもなります。監視カメラの死活監視を行うには、監視カメラをネットワークに接続する、死活監視機能を持ったゲートウェイ・ルータが必要です。ゲートウェイを使用することで、正常に動作しているか死活監視を常に行なえるだけでなく、停止した場合にアラートを表示したり、電源を入れなおして再起動したりする操作もネットワークを介して遠隔で行えるようになります。一時的にゲートウェイに元データを保存して、必要な部分だけクラウド側に送り、ネットワーク負荷を減らすような処理も可能です。

監視カメラの死活監視を可能にするゲートウェイ

 監視カメラは、死活監視により常に正しく動作していることが確認できる信頼性だけでなく、屋外や高所、人の近寄れない危険な場所に設置されることも多いので、高い堅牢性が求められます。同様に、監視カメラシステムなどに用いられる産業用のゲートウェイも、耐熱性、耐衝撃性、耐電性等に優れ、堅牢であることが求められます。ネットワークを介してデータをやりとりするので、情報セキュリティという点においても堅牢でなければいけません。

 また、監視カメラの動作を制御したりデータを送受信したりするとともに、電源をとることが難しい場所に設置された監視カメラに対し電源を供給できる、PoE(Power over Ethernet)機能も重要です。これにより、監視カメラがダウンした際に、遠隔で電源のON、OFFを操作してカメラの再起動を行うことも容易になります。

 さらに、監視カメラだけでなく、ゲートウェイ自体の死活監視を行う、デバイス管理のクラウドアプリケーション・サービスがあれば、より有効に死活監視が行えます。このようなクラウドアプリケーションを使用すれば、障害切り分け、各カメラや通信モジュールなどの電源再投入、ファームウエア更新、ソフトウェア配布、自動初期設定などを行うことも可能です。

まとめ

 監視カメラシステムを正常に安定運用するには、死活監視の機能を持つことは必要不可欠です。同時に、死活監視の機能を実現するには、堅牢でセキュリティにも優れ、多彩な機能を備えた産業用のゲートウェイ・ルータが欠かせません。クラウドアプリケーションなども活用することで、その機能をより高めることもできます。今後、監視カメラの活用範囲はさらに拡大していくと予想されます。死活監視や、それを支える様々な機能や製品、アプリケーションを有効活用し、運用コストやメンテナンス費用を抑えた監視カメラシステムを構築してください。

アムニモサイト運営事務局
アムニモ株式会社は、横河電機のグループ会社です。
高い信頼性と運用性に優れた自社開発のIoTデバイスとクラウドサービスを組み合わせ、先進の映像・IoT・AIソリューションの提供を通じ、IoTとAIでつながる世界に貢献していきます。コラムにて定期的にお役立ち情報をお届けします。

お問い合わせ