ゲートウェイの基礎知識と活用例を詳しく解説
近年IoTサービスの普及などに伴い、「ゲートウェイ」がより幅広い産業で使われるようになっています。本記事はネットワークの分野では欠かせないゲートウェイの基礎知識として、その定義や機能、活用例としてIoTについて、簡単に分かりやすく解説しました。
ゲートウェイの定義
ゲートウェイ(Gateway)とは、直訳すると「門のある道」で「玄関」や「入口」を意味する英語ですが、ITの分野においてはプロトコル(通信手段)の異なるネットワークを中継する機能や、そういった機能を持った機器そのものを指します。
ゲートウェイは異なるプロトコルやデータ形式によって相互通信ができないという不便を解消するための機能・機器です。その名の通り、相互通信をするために必要な、ネットワークにおける「入口(Gateway)」として捉えてください。
ゲートウェイとルーターの違い
ゲートウェイと同様に、インターネットの通信を中継する機器としては「ルーター」といったものもあります。英語の「ルーター=Router」は「彫刻工具」を意味しますが、IT分野においてはゲートウェイとルーターはどちらもネットワークを中継する機器を指すので、ほぼ同じ意味で使われるケースも多いです。
違いとしては、ゲートウェイは規格の異なるネットワークを中継する機能そのものや、そういった機能を持つ機器全般をさすのに対し、ルーターは一般的に、ネットワークの規格の中でも、OSI参照モデルにおける第3層「ネットワーク層」において、IPアドレスに基づきデータ中継を行う機器になります。
大まかに言うと、ゲートウェイは「ネットワークを中継する機能」または「ネットワークを中継する機器」、どちらの意味合いでも使われます。ルーターはその中でも「IPアドレスに基づきネットワークを中継する機器」をさします。
ゲートウェイはより広い意味で使われることもある単語で、ルーターはゲートウェイの一種であることをまずはおさえておきましょう。
ゲートウェイの利用例
ゲートウェイが使用されている身近な例としては、例えば家庭に設置されているWi-Fiルーターもゲートウェイの一種です。スマホやパソコンなどの端末は、Wi-Fiルーターを中継器として外のインターネットへ接続することで、Webサイトの閲覧などが可能になります。この際、Wi-Fiルーターは、パソコンなどの端末と外のネットワークとの中継を行うので「ゲートウェイ」として捉えることができます。
また、企業においても多くの場合、社内ネットワークと社外ネットワークを中継する「ゲートウェイ」が設置されています。特に企業においては、多くの従業員のパソコンがインターネットにつながるなど、大容量のデータを通信することも多く、ゲートウェイがいかに素早くネットワークの中継処理を行えるのかが重要です。
ゲートウェイの重要性
ゲートウェイはネットワークシステムにおいて欠かせない存在です。ゲートウェイとは、「プロトコル(通信手段)の異なるネットワークを中継する機能」と説明しましたが、プロトコルとは通信の規格であり、例えるならば「言語」です。たくさんの言語が存在する中で、例えば日本語と英語では意思疎通は測れないので「通訳」が必要となります。この通訳の役割を果たしているのがゲートウェイで、ITにおいては様々な言語、つまりプロトコルが存在するので、通訳の役割を果たすゲートウェイが必要不可欠になってきます。
また、ゲートウェイが重要となってくる理由として「インターネットの安定性」が挙げられます。異なる通信のプロトコル(規格)同士の通信においては通信が不能であり、ゲートウェイの品質が通信速度や接続不良に影響してくるためです。より良いゲートウェイやルーターのシステムを活用することで、社内外へのインターネット通信がストレスなく円滑に運ぶようになり、仕事の能率も向上することでしょう。
さらに、ゲートウェイはセキュリティという観点でも重要な役割を果たします。例えば企業のネットワークシステムにおいて、ゲートウェイは社外ネットワークと社内ネットワークの中継器として機能しますが、ここで社外からのハッキングやサイバー攻撃をシャットアウトできれば、社内ネットワークにあるデータや端末に被害が及びません。このような設定をゲートウェイに行っておくことで、外部からの攻撃を未然に防ぐことが可能となり、セキュリティ面での精度がより高まります。
ゲートウェイの接続方法
ゲートウェイを企業に導入する際、大抵の場合数多くのデバイスに接続するため、大がかりな配線工事が必要な有線ではなく、Wi-FiやBluetooth、ZigBeeなどの無線方式での接続が一般的です。また、1台のゲートウェイ機器で全てのデバイスがカバーできないケースも多いので、ゲートウェイを複数台設置するルーターなどを中継器として活用するなどの対応が必要です。
デバイスとの接続は無線ですが、ゲートウェイ機器をインターネットに接続するには、安定性を優先させて有線による接続を行うケースが多いです。
ただし、有線でのインターネット接続が適切でないケースもあります。有線のインターネット環境の準備には大きなコストがかかるため、屋外などでは利用できない場合も多いでしょう。そのような場合には、LTEや4Gなどモバイル通信に対応したゲートウェイやルーターを使いましょう。
IoTとゲートウェイ
ここまで、ゲートウェイの定義について説明しましたが、ゲートウェイの活用例として現在注目が集まっている「IoT」との関わりについて説明します。
IoTとは「モノのインターネット」を意味する”Internet of Things”の頭文字をとったIT用語です。従来、インターネットにつながっていなかったような様々なモノがインターネットにつながることを表します。IoTにより、離れた場所からでも機械などの状態把握や、クラウドなどに蓄積されたデータの分析・活用が簡単にできるようになるため、幅広い産業分野で普及が進んでいます。
IoTにおいて、ゲートウェイは非常に重要な役割を果たします。なぜならば、たいていの場合、センサーやデバイスなどの「モノ」はゲートウェイを中継器とすることで、インターネットに接続されるケースが多いためです。特に数多くの「モノ」をインターネットに接続するIoTでは、ゲートウェイが単なる中継器としての役割だけでなく、データをある程度集約・処理を行う機能も持つことで、より効率的なIoTシステムを実現することができます。
IoTが切り拓く未来
IoTは、遠隔地にいながら「モノを操作する」「モノの状態を察知する」「モノ同士で通信する」ことができるという、まさに21世紀型の通信システムです。
IoTサービスが導入された職場では、あらゆる「モノ」に装着されたセンサーがインターネットを介して情報を伝達することが可能となり利便性が向上します。
たとえば、工場内の温湿度管理や機械の不具合などをいち早くキャッチし、すばやく適切に対応できるようになることでしょう。また、一般家庭ではペットの首輪から体調管理をしたり、防犯にも役立てたりすることが可能です。
IoTゲートウェイを業務にどう生かすか
IoTは、今後多種多様な業界・業種に導入され、活用されると予想されます。以下のような業務に応用が可能です。
- 消費電力量の表示・データ通知機能
- 遠隔地からの機器類操作機能
- 遠隔地からの温湿度管理と電源操作機能
すなわち「モノ」が発信する情報を遠隔地からキャッチし、機器類の適切な操作によって「時間」と「人件費」の大幅な節約が実現されます。
IoTの登場と、そのシステムの発展によって、我々の社会は飛躍的に利便性が向上し、IoTは今後もさらに技術革新が進むことが予想されています。多くのIoTシステムで使われるゲートウェイは、今後もより幅広い産業で浸透していくことでしょう。
まとめ
ゲートウェイの基礎知識として、ゲートウェイの定義や活用シーン、その重要性ならびにIoTとの関わりについて解説しました。ゲートウェイの導入は今後さらに様々な産業分野で加速することが推測されます。企業のIT部門で勤務する社員の方や、IT業界で働く方は、ゲートウェイの役割や重要性を理解したうえで、それをいかに会社の業務に活用するかを考えてみてください。
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