LTEルーターとは?ネットワークや通信の基礎から解説
LTEルーターは、現在主流となっているLTEの通信をつかうことのできるネットワークの中継器のことを指します。特にIoTなどの産業分野では欠かせない存在です。本記事では、前提となる通信やネットワークの基礎知識から、LTEとルーターの定義、Wi-Fiルーターとの違い、LTEルーターの用途まで、分かりやすくご説明します。
ネットワークの構成:WAN・LAN・インターネット
「ネットワーク」というのは簡単に言うとコンピューターやサーバーなどがつながる構成のことです。ここでは大きく3種類に分けて解説します。
■LAN:Local Area Network
一定の限定されたエリアで接続できるネットワークのことで、企業のフロア内のネットワークや、家庭内のネットワークとして主に使われます。インターネットと違い、閉じたネットワークになっています。
■WAN:Wide Area Network
限定されたエリアではなく、より遠く離れたエリアとつながったネットワークのことです。企業の本店と支店を結ぶような、企業内にのみ閉じられたネットワークのことをWANと呼ぶこともありますし、世界中の誰とも繋がれる、いわゆる「インターネット(詳しくは後述)」もWANの一種です。
■インターネット(Internet)
全世界の人々とつながることができるネットワークで、WAN (Wide Area Network)の一種です。インターネットサービスプロバイダー※(以下ISP)同士がつながることで網目のようなネットワークが構築されています。このISPを経由することで、我々は様々なISPに接続された端末とのやり取りや、サーバーの情報へのアクセスを行うことができます。
※インターネットサービスプロバイダー(ISP):インターネットの接続窓口ともいわれる、インターネット接続サービスを提供する事業者のこと。
インターネットへの接続
インターネットに接続するには、まずLAN(Local Area Network)にある、パソコンやスマホなどの情報を閲覧するための端末「クライアント」からWAN(Wide Area Network)やインターネットサービスプロバイダーを通じて、ようやく「インターネット」に接続し、情報のやり取りができるようになります。身近な例で考えてみましょう。
■会社でのネットワーク
会社でインターネットに接続している場合、まず各社員のPCは各支店やオフィス、各フロアのLAN(Local Area Network)に接続しています。同じフロアに居る他の社員の方のPCも同じLANに接続していると考えて良いでしょう。
例えば、同じ社内の大阪支社の方にメールを送るとする場合、東京支社のLANから、各支社同士を結ぶネットワークWAN(Wide Area Network)で通信が行われます。こうしてWANを通じて同じ会社の人にメールを送ることができます。
社外の人にメールを送る場合、LANからWANに出るところまでは同じですが、そこからISPを経由してインターネットに出ることで、外のネットワークにある端末と通信を行うことができます。これにより社外の人にもメールを送ることができるようになります。
■家庭でのネットワーク
ご自宅では、インターネットサービスプロバイダーと契約し、Wi-Fiルーターを設置しているケースが多いのではないでしょうか。その場合、まず、Wi-Fiルーターで構築された家庭内のLAN(Local Area Network)にご自身のスマートフォンやタブレット、PCなどが接続されています。ルーターが中継器となって、WAN(Local Area Network)回線と、契約したISPを経由してインターネットに接続し、Webサイトの表示やアプリの利用などが可能になります。
ルーターとは?
ルーターとは、複数の異なるネットワークを接続するための装置です。異なるネットワークに情報を伝送する際、データを伝送するための経路を選択・制御する役割を担います。さきほどご説明したWAN(Wide Area Network)とLAN(Local Area Network)の考え方においては、ルーターはWANとLANを相互に接続する中継機器になります。簡単に電話で例えると、LANが内線でWANが外線、ルーターは電話の交換機にあたるようなイメージです。まずは、ルーターは「ネットワークの中継器」であると覚えておきましょう。
LTEとは?
今回解説するLTEルーターで使われているのはモバイル通信回線です。LTEとはモバイル通信回線の一種です。この通信回線のおかげで、固定通信のように限られた場所ではなく、国内の幅広い箇所で、インターネットが使うことができます。
なお、モバイル回線にはLTEの他にも3Gや5Gなどの規格が存在します。これまで、トラフィックの増加や送信するデータ量の増加に応じて新しい通信の規格が生まれてきたためです。この中でLTEという規格は3Gの後に生まれた、より早くて新しい通信規格で、4Gとほぼ同義になります。また、最近はLTE(4G)よりも新しい、最新の規格「5G」も登場していますが、現在主流となっているのは、やはりLTE(4G)回線になります。
また、LTEなどのモバイル回線を使うためには、通信事業者とSIMを契約する必要があります。各社、さまざまな料金プランを用意していますので、通信速度、安定性、容量、費用などをチェックして、利用する状況に合わせた適切な通信事業者・プランを選ぶことが重要です。
LTEの歴史やSIMの選び方などはこちらでも詳しく解説しています。
通信(ルーター)の種類
Wi-Fi ルーターやLTEルーター、Wi-Fi対応LTEルーターなど、ルーターには様々なタイプがあり、通信方式で区分されていることがあります。その違いに迷った際はWANとLAN側の通信方式についてそれぞれ抑えておくと分かりやすいです。
WAN | LAN | |
無線通信 | モバイル通信:LTEや3G | Wi-Fi(無線LAN) |
有線通信 | 固定通信 | 有線LAN |
LTEや3Gは、主にWANで使われるネットワークの通信方式で、いわゆるモバイル通信回線の一種です。モバイル通信回線は携帯電話回線やセルラー通信回線ともよばれ、国内ではdocomo、au、ソフトバンクなどのキャリア(通信事業者)が通信回線を提供しています。
一方、Wi-Fiとは、LANにおいて使われる無線通信の方式です。無線でLANにアクセスする技術のことでもあり、無線LANとほぼ同義です。
無線通信の方式でルーターの種類が分かれているケースも多いため、良く使われる名称についてまとめました。購入を検討する際の参考にしてください。
・Wi-Fiルーター(無線LANルーター)
Wi-Fiを使って、無線でLANを構築できる。
・モバイルルーター
WAN側に関して、モバイル回線(LTEや3G)を使っている。
・LTEルーター
WAN側に関して、モバイル回線のうちLTE回線を使っている。
・Wi-Fi対応LTEルーター
WAN側に関してはLTE回線を使い、LAN側に関しては無線で通信できる。
・モバイルWi-Fiルーター
LAN側に関しては無線で通信、WAN側に関してはモバイル通信(LTEや3G)を使うことができる。モバイル回線を使うため便利に持ち運べるということで「ポケットWi-Fi」とも呼ばれることもある。
LTEルーターの用途
LTEルーターは固定回線が不要であるため、比較的簡単にネットワークを使ったシステムを構築できる点が評価されています。オフィスではインターネット環境を整備することが当たり前になっていますが、例えば、遠隔地や無人拠点でもインターネットを自由に使いたいという場合にはLTEルーターが便利です。
また、防犯カメラシステムや踏切管理システムなど、屋外の環境では固定回線が引かれていないケースも多いため、LTEルーターが活躍します。建設工事現場の監視など、利用期間が限られるシーンでも、固定回線をわざわざ引くコストが割に合わないことがほとんどであるため、LTEルーターが役立ちます。
固定回線が引かれていないのは山奥など僻地であることも多いため、そういった場所での利用も自然と多くなってきます。
具体的には下記のようなシーンでの導入が進んでいます。
■街中の防犯カメラ
ネットワークカメラを使った監視カメラシステムの構築のためにはルーターが必要です。
■鉄道
僻地にある踏切や無人駅の様々な情報を中央で一括管理することで、保守の効率化を実現できます。
■ハウス栽培
ハウス内の温度や湿度をセンサーのデータを本部に送信し、リモートで監視ができます。
■自販機
在庫情報の管理や様々な決済に対応するためルーターが必要です。
■無人駐車場
ネットワークカメラと一緒に設置して、トラブル時に本部から現場をモニタリングできます。
■ソーラーパネル
映像データや発電量、照度などのセンサー情報を元に、発電量コントロールの自動化などが可能となります。
■建設・工事現場の仮設事務所
期間の限られた通信の利用であれば、固定回線を引くよりも安くインターネットを利用できるようになります。
■警備システム
警備用の通報装置や防犯カメラと接続し、固定回線がない僻地でも遠隔地からの監視が可能となります。
利用シーンの詳細は一部こちらでも紹介しております。
まとめ
本記事では、通信の仕組みからルーターの役割、LTEルーターの活躍する場所などについて解説しました。実際に利用するシーンをイメージすることで、最適なルーターを選び安心して運用いただければと思います。
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