グローバルIPアドレス不要、ポートオープン不要でセキュリティの高いネットワークを構築。remote.itとは?

グローバルIPアドレス不要、ポートオープン不要でセキュリティの高いネットワークを構築。remote.itとは?
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IoTの普及が進むにつれ、遠隔地からセンサー機器やデバイスにアクセスして、機器の設定や情報の参照を行ないたいという需要が多く出てきています。例えば、工場の製造装置に対する外部からの監視やメンテナンス作業、ネットワークカメラによるセキュリティシステム、多店舗展開している飲食店や販売業のサイネージシステムの操作など、業界や用途は多岐にわたります。また、自宅や外出先からのリモートワークの拡大に伴い、外部から社内の情報にアクセスして仕事ができるようになったことで、時間や距離、場所などの制約が減り、働き方は大きく変化しています。

 このような遠隔地のデバイスを操作するような業務や、外部から社内のシステムにアクセスして行う業務では、情報セキュリティが大きな問題となります。外部からのアクセスが増えれば、内部の重要な情報が盗まれたり、システムを破壊されたりするリスクは高くなります。遠隔地のデバイスも、ネットワークでつながるので攻撃される可能性が出てきます。従来のセキュリティ対策では、内外問わず発生する脅威や、増え続けるアクセス経路やトラフィックに対して対応が難しくなってきていました。

そこで注目されるのが、プライベートIPアドレス上のデバイスにインターネット経由で遠隔から、安全にアクセスすることを可能とするP2P接続サービスであるremote.itです。remote.itを使用することで、グローバルIPアドレス不要、ポートオープン不要なセキュリティの高いネットワークを、高度なネットワーク技術を持たなくても構築することができます。こちらの記事では、remote.itの概要と特徴、採用例などを説明いたします。

remote.itの特徴

 remote.itは、アメリカ合衆国カリフォルニア州パロアルトのremot3.it Inc.が提供する、あらゆるデバイスや通信環境におけるセキュアな接続を可能にするリモートアクセスサービスです。ゼロトラストの思想に基づいて設計され、信頼できるP2Pネットワークを使いSDP(Software Defined Perimeter)を実現します。

 VPNなどのグローバルIPアドレスとオープンポートによる接続や、ポートフォワーディングをはじめとした既存の技術には避けられないセキュリティホールが内包されていました。そのため、DDoS攻撃などへの対策コストが避けられません。remote.itでは、グローバルIPアドレスやポート開放が不要です(特許出願中)。ポートをスキャンから完全に隠蔽し、プライベートIPアドレスで機器同士が1対1の通信を確立することが可能となる機能で、既存の技術では不可避なセキュリティリスクを排除できます。

 ソフトウェアベースで動作し、ソフトウェアだけでリモートアクセス経路を確立するので、アプリケーションの改修は不要です。デバイスやプラットフォームなどの環境を選ばず、既存のデバイス、環境にアドオンできます。

 インターネットアクセスが可能なこと以外の設計が不要であり、P2P接続やProxy接続などさまざまな接続パターンに対応しています。ネットワーク環境に依存した設定変更が不要なため、デバイスの設置、移動の自由度が高く、モバイル網環境下においてもEnd-to-End の通信を確立することが可能です。運用面においても、デバイスのステータスをWebポータルで一元的に把握することや、複数のデバイスに対して一括でスクリプトを実行することが可能であり、一括運用を強力に支援します。

remote.itの仕組み

 一般的なファイヤーウォールでは、内部からの通信は通し、外部からの通信はブロックする。または、Webサイトの閲覧のように、外部への通信の宛先からの応答は通過できるような方法がとられています。

 remote.itでは、remot3.it Inc.が運営するクラウド上のアプリケーションに対して、接続元となるPCなどから、アカウントの認証と接続するターゲットとなるデバイスへの接続意思の伝達が行われると、ターゲットデバイスの最寄りゲートウェイのグローバルIPとポート番号が知らされます。それとともに、ターゲットデバイスには接続元の最寄りゲートウェイのグローバルIPとポート番号が伝達されます。接続元にターゲットデバイスから情報が送られると、接続元ではターゲットデバイスへ送信する情報をあたかもターゲットデバイスからのパケットへの応答であるかのように送ります。これにより、接続元もターゲットデバイス側も専用のグローバルIPアドレスもポート開放もなく、双方にNAPT経由でインターネットに接続できる環境が用意されていればP2P接続を起動することが可能になります。

remote.itの採用例

 remote.itは、ソフトウェアベースで動作し、デバイスやプラットフォームなどの環境を選ばないため、ネットワークカメラのセキュア通信、警報装置と監視センターとの通信、決済端末と中間サーバとの通信、工場の生産設備からのデータ収集、ゲートウェイサーバのリモートメンテナンス、在宅勤務環境の構築、大型プラントの遠隔監視システムなど、高度なセキュリティを要するあらゆる用途の通信に活用可能です。ネットワークに関する高い知識を有するエンジニアがいなくても、複雑な設定をする必要もなく、ユーザーはセキュリティの高いリモートアクセスネットワークを低価格で簡単に構築できます。

 例えば、通信キャリアの提供するLTE回線などに対応した、remote.itがプリインストールされたLTEルーターとネットワークカメラをセットに設置した監視カメラシステムの場合、LTE回線を使うので設置場所が限定されず、ネットワークの設計・設定変更作業などを行わなくとも、設置すれば直ちに利用することができます。グローバルIPアドレスもオープンポートも持たないため、ネットワークカメラがハックされる恐れもなく、高いセキュリティ、情報の秘匿性を確保できます。もちろん、ネットワークを使ったシステムであるため、お手持ちのスマートフォンやパソコン等からでも映像を確認可能な防犯カメラシステムを構築できます。

また、監視センターにVPNサーバを置いてVPN接続により通信を行っていた監視システムであれば、remote.itに置き換えることでグローバルIPが廃止され、ネットワークセキュリティのリスクを排除し、管理工数、維持コストが削減できます。回線コストの削減も可能です。

まとめ

 時間や距離、場所に左右されない新しい働き方が増える中、情報セキュリティはさらに重要性を増してきます。また、以前のように境界の防御さえ強固にすれば対応できる時代では無くなってきました。remote.itは、より高度なネットワークセキュリティを、ネットワークに関する高い知識がなくとも、スピーディーに低価格で構築することができます。remote.itを活用することで、今までセキュリティや技術、費用面の問題で実現が難しかった産業用機器などのデバイスの遠隔制御を実現してください。

remote.itのサービスについては下記のアムニモWebサイトでもわかりやすく紹介しています。

remote.itについて解説した資料を下記よりダウンロードいただけます。お気軽にご覧下さい。

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