最新監視カメラシステムのトレンド ~エッジ録画とクラウド録画の違いとは~

最新監視カメラシステムのトレンド~エッジ録画とクラウド録画の違いとは~
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近年、ネットワーク化の流れが様々な産業で進む中、各メーカーはネットワークカメラに力を入れています。さらに、映像データを防犯目的のみならず、業務の効率化のために活用する動きも広がっています。

本コラムでは、このように様々な産業分野で導入が進む監視カメラシステムについて、普及に関する現在の状況と課題を「エッジ録画」と「クラウド録画」という観点から解説いたします。

監視カメラシステム導入を加速する2つの流れ

監視カメラのネットワーク化の流れ

数年前まで、監視カメラの多くはネットワークに接続されていない、いわゆるアナログカメラがほとんどでした。そのため

  • カメラがフリーズしても気づかれない
  • 書き込み回数過多によるSDカードの動作不良

などの理由から、カメラの映像が必要になったときに初めて、監視カメラの録画停止に気づくといった事態も散見されました。

しかし、近年はIoTの普及によりインターネットにつながった監視カメラシステムが増えています。いわゆるIPカメラを活用することで、ローカルのネットワーク環境はもちろん、外部接続可能なインターネットを活用して、離れた場所からでも簡単に映像を閲覧できるようになりました。また、カメラに直接SIMカードを挿入し、セルラー回線を使って映像データを送信するようなケースもあります。

このように、通信機器を用いてカメラをインターネットに常時接続することで、気づいた時には稼働が止まっていたという事態を防ぐ、カメラの死活監視が可能になりました。さらに死活監視だけでなく、通信が可能となったことにより映像も通信で取得する動きや、カメラを遠隔で制御する「映像ソリューション」が広まり始めました。

機器の遠隔監視に映像を付け加える動き

昨今の電力不足を背景に太陽光発電や風力発電などの再生エネルギーの活用はより重要度を増しています。また慢性的な人手不足により産業用機器や社会インフラのメンテナンスを可能な限り遠隔で行ないたいという需要も非常に強くなっています。

従来から社会インフラは遠隔からの監視が広く行なわれていますが、その監視の方法は、機器にて生成される稼働情報や、機器に取り付けられたセンサーから出力されるデータを利用するものとなっています。

しかし、この現行の監視機能では不十分であるという声が最近増えてきています。特に遠隔地の無人で稼働している設備においては、

  • 従来の監視方法では機器そのものが停止してしまうと十分な情報が得られない。
  • 機器そのもののデータは取得できても、機器周辺に火災や災害などの異常が起こっているケースなどを認識できず、一次対応や復旧に遅れが生まれる。

などの課題があります。

このような事態への対策として、既存の稼働情報やセンサーデータによる監視に加え、監視カメラを設置してカメラの映像を用いた監視を行なうケースが増えています。例えば、遠隔地で無人で運用されることが多い再生可能エネルギーの発電施設、送変電施設、あるいは鉄道沿線や空港の周辺部などの監視において、このような需要が発生しています。

このように、監視カメラシステムの活用は防犯の用途以外でも広がりを見せています。映像監視の活用例の詳細につきましては下記よりご覧下さい。

「エッジ録画」と「クラウド録画」

通信障害に対する一番の対策は、各事業者がネットワークに関しても冗長性のあるシステムを活用することです。例えば、メインで使っている通信キャリアとは別に、バックアップとして他のキャリアでの通信も用意しておくことで冗長性を確保できます。iphoneなどのスマートフォンでもデュアルSIM対応の機種が近年発売されていますが、このような複数のキャリア回線を活用できる端末を使うのがおすすめです。また、近年ではいわゆる「格安SIM」など少量のデータ通信を対象とした月額料金プランが安く設定されており、複数事業者との契約のハードルも低くなってきています。通信障害に対策するためには下記3つの条件をそろえることが必要です。

エッジ録画

以前は、監視カメラの多くがインターネットに接続されておらず、撮影した映像や画像データを、カメラ内部や近くに設けられた管理室等にある録画装置、いわゆるローカルのストレージに保存する「エッジ型録画」が使われていました。そのため、映像を確認する時は、防犯カメラのある現場に行ってSDカードに保存されたデータを持ち帰ってくるか、NVR(ネットワークビデオレコーダー)やDVR(デジタルビデオレコーダー)と呼ばれる録画装置のある場所で映像を確認する必要がありました。

エッジ録画のメリット

エッジ録画は比較的古い監視カメラで使われていますが、導入コストが低く、導入が簡単な点にメリットがあります。

  • ネットワーク構築やモバイル回線利用などが不要であるため、比較的安価に導入可能。
  • ネットワークシステム構築の知識が不要であるため、導入も比較的簡単。
  • インターネットに接続されていないため、インターネット経由での情報漏洩のリスクがない。

エッジ録画のデメリット

導入の簡単さから普及が進んだ「エッジ録画」でしたが、その後運用が進むにつれて課題が見えてきました。

例えば、カメラのデータを閲覧するには、防犯カメラのある現場に人を派遣し、映像データが入ったSDカードなどの記録メディアを回収する、あるいはNVRやDVRの場合でも管理室等に映像を閲覧しに行く必要があります。そのため、

  • すぐにデータがみられないので不便
  • 人員派遣にコスト・工数がかかる
  • 広範囲に設置された多数のカメラの管理には不便
  • 遠隔地から頻繁に映像を確認することは難しい

といった課題が発生しました。

さらに、特に近年の監視カメラの高スペック化に伴い、運用中のカメラのフリーズが多発しています。カメラのフリーズは電源を入り切りするだけで復旧できるケースも多いのですが、エッジ録画の場合、その作業のために人を派遣しなければなりません。

また、特にSDカードを活用して録画している場合、SDカードにはデータ書き込み回数の上限があることから、保存したデータが破損しやすいというリスクもあります。SDカードは方式の違いにより、書き込み回数の上限値に大きな違いがありますので、監視カメラの録画の用途で使用する場合は、書き込み回数の上限値が大きいものを利用することが推奨されます。

クラウド録画

一方、カメラのネットワーク化の流れが加速する中、カメラがルーターやゲートウェイを介してインターネットに接続されるケースも増えてきました。これにより、映像の確認や、カメラ故障の検知、停止した際に再起動させる操作、設定の変更などを、遠隔地から行なうことができるようになりました。

こうした、カメラのネットワーク化が進む中で、カメラで撮影した全ての映像をクラウド側に保存する「クラウド録画」も近年広まってきました。遠隔監視や複数台の防犯カメラの映像を確認する際に多く利用されています。クラウド上に映像データを保存することで、防犯カメラのある場所に行かなくても、パソコン、スマートフォンなどのモバイル端末から映像を確認することができます。さらに、カメラの高性能化に伴い、「PTZ(パン・チルド・ズーム)」と呼ばれるカメラを操作する機能をもつネットワークカメラも登場し、遠隔からのカメラ操作も可能となってきました。また、大規模なシステムや大きな装置が不要な、簡単に監視カメラシステムを導入できるクラウド録画のパッケージサービスも増えており、家庭用から産業用まで幅広く導入が進んでいます。

クラウド録画の仕組みなど、クラウド録画について詳しく解説した記事は下記よりご覧いただけます。

 

クラウド録画のメリット

ネットワークに接続されるため、死活監視や遠隔からのデータ閲覧など、メリットは多々ありますが、最大のメリットは、インターネットに接続できるパソコンやスマホ、タブレットがあれば、カメラの映像を24時間365日、どこからでも見ることができるようになることです。遠隔地からでも映像データを簡単に閲覧できることから、映像データ活用の幅が広がります。

他にも、クラウド録画には、管理や安全性、処理能力の高さという点でメリットがあります。

【管理上のメリット】
  • 広範囲に分散している店舗や工場の監視カメラ映像をまとめて管理。
  • 物理的な記録装置を購入することなく、大きなデータ領域に映像データを録画可能。
  • 映像を保存するためのサーバーを自社内に用意する必要もないため、管理が簡単。
【安全性のメリット】
  • 近くに録画装置や保存用サーバーを設置できない屋外の危険個所に設置されたカメラの映像保存も可能。
  • ユーザー管理を正しく行うことで、データ閲覧範囲の限定等が可能。
  • 万が一、火災などで現地に置かれた機器が破損した場合でも、破損する直前までの録画がクラウドに残されていて消失しない。
【高度な処理】
  • クラウド側から簡単にデータの解析や検索が行える。
  • 人の動きを検出する「動体検知」や「顔認証」、「人数のカウント」などAI画像認識を計算能力の高いクラウドに実行させることも可能。
  • 処理の結果を通知するような仕組みも実現できる。

クラウド録画のデメリット

クラウド録画には便利な点も多々ありますが、何点かデメリットもあります。特にクラウド録画をモバイル通信で実装する場合には、

  • 通信費用の増大
  • 通信待機の過大消費

が課題となります。映像データはデータ量が多いことからデータの通信量が大きくなりがちです。また、技術の進化により高画質なカメラも増え、データ量はますます大きくなる傾向にあります。そのため、モバイル通信を使うと通信費が高額になり、通信待機を大量に消費するため、周囲の他の端末が通信しにくくなるリスクがあります。

その結果、クラウド録画は、モバイル通信ではなく固定通信が利用できる場所での利用が中心となっています。しかし、固定通信が元々ない場所の場合、固定通信回線の敷設には大きなコストがかかることから、インターネットへの接続をあきらめてしまう場合もあります。

さらに、映像データはデータ量が多いという特徴から、クラウドにデータを保存する際、クラウドへの保管コストも高額になりがちです。

しかし、このようにコストをかけて保管された映像データのうちほとんどが不要ともいわれています。監視カメラが撮影する映像の99%以上は異常のない状態を撮影したものであり、一定期間経過した後は閲覧されることもなく捨てられているためです。つまり、撮影された映像のうち、ほとんどは通常時の映像であるため不要であり、異常時の映像、例えば防犯の用途では「不審者侵入時」、防災の用途では「河川増水時」など「何かあったときの映像」さえあれば十分です。コストをかけて映像データを保管していてもすべての映像データが必要とは限りません。

他にも、クラウド録画には下記のような課題があります。

  • 外部のインターネットを経由して情報を送信するため、セキュリティ対策が必要となる。
  • カメラが選べない、映像の解像度が選べないなどの制約が大きい。
  • インターネット回線が不安定だと録画する映像データが欠損してしまうリスクがある。

エッジとクラウドのハイブリッド型サービス「統合ビデオ管理システム」

アムニモ株式会社が提供する「統合ビデオ管理システム」は、これらのエッジ録画とクラウド録画の課題を解決しつつ、両システムのメリットを享受したソリューションを実現します。

映像データは、エッジゲートウェイとよばれるデバイス上で常時録画するため、クラウドへの通信費用や保存コスト、またクラウド録画のインターネット回線の不具合によりサービスが停止してしまうリスクを低減できます。しかし、その一方で、エッジゲートウェイが通信機能を有しているため、現場のデバイス上の録画データに遠隔からアクセスすることも可能です。

普段の録画データを現場に設置されたデバイス内にある、ローカルのSSDに常時録画し、必要な時に「必要なデータ」のみをクラウドにアップロード・保存することで、通信コスト・保管コストを抑制した遠隔監視を実現可能です。

【実際にアップロードされるデータの例】
  • 定期的に送られるサムネイル画像
  • アラート情報と紐づいた数分間の映像
  • 後からエッジ端末上に残った映像を必要な個所だけクラウドにアップロード
  • 見たい時にだけ見る数分間のライブ映像

このように全映像の中でクラウドに送られるデータはわずかな比率となっています。そのためモバイル回線を利用した場合でも通信コストを増大させずにクラウドでの映像活用が可能になります。

このようにアムニモの映像ソリューションはエッジ録画とクラウド録画、両システムのメリットを兼ね備えたソリューションにより、コストと運用の課題を解決する実用的な監視カメラシステムを実現します。

なお、この度ご紹介したアムニモの映像ソリューション「統合ビデオ管理システム」の資料につきましては、下記よりダウンロードいただけます。

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高い信頼性と運用性に優れた自社開発のIoTデバイスとクラウドサービスを組み合わせ、先進の映像・IoT・AIソリューションの提供を通じ、IoTとAIでつながる世界に貢献していきます。コラムにて定期的にお役立ち情報をお届けします。

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