AI画像解析で混雑度をリアルタイム計測 人数カウントシステム

混雑度イメージ
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新型コロナの感染拡大によりはじまったニューノーマルの時代。重要なのは、人々が安心して集まることができる環境づくりです。特に、不特定多数が利用する、公共スペース、飲食店、店舗、ホテル、イベント会場など、3密やソーシャルディスタンスへの不安が高い空間では、感染リスクを最小限に抑える必要があります。施設利用希望のユーザーにとっては、リアルタイムの情報がわからないため行動に移せない場合もあります。そういった時にリアルタイムで利用したい施設の混雑状態がわかる“人数カウントシステム”が、非常に注目されています。従来のカウントシステムでは、人が混雑した状況で正確な人数を計測できないという課題がありましたが、AI画像解析技術の飛躍的な進歩と、ディープラーニング推論エンジンの高速化により、カメラで撮影した映像をもとに、正確にエリアの混雑度を可視化することが可能になっています。こちらの記事では、最新の人数カウントの概要や仕組み、活用するメリット、実際の利用シーンなどを紹介します。

AIで人数を検知する仕組み ~人の頭部をAIで認識~

AIを活用した人数カウントシステムとは、ネットワークカメラで撮影した映像や画像を、リアルタイムでAIが解析して、指定した範囲の人数を簡単にカウントするシステムのことです。解析結果はリアルタイムに管理でき、設定した基準値以上の人数をカメラが検知すると、画面にアラートを表示したり、メールで通知してくれたりします。

従来のアルゴリズムでは、『人間の体全体』が撮影されなければ、1人の個人としてカウントされなかったため、人の出入りが少ない場所での利用に限定されていました。しかし、新たなアルゴリズムでは、『人の頭部』のみで認識してカウントすることができ、密集して重なっている人や正面・背面の人もカウントが可能となりました。この最新技術により、今まで困難だった、人混みでの人数把握が容易にできるようになったことに加え、夜間などの低照度環境下においても、高い精度で、頭の検出を行うことができるようになりました。

AI人数カウントの導入事例

人数カウントはセキュリティ強化やマーケティングなど、さまざまな場面で活用されています。

イベント会場

大人数が集まるイベント会場などでは、目視での人数確認は非常に困難です。またエリアが広いほど人手やコストがかかります。最新のAIを使った人数カウントシステムを導入すれば、人と人が重なる混雑した状況でもカウントができます。さらに、広範囲を高解像度で撮影できるカメラと組み合わせれば、カメラの設置台数や運用コストを削減することができます。また人数カウントの累積データをもとに、来場者の傾向を推測することもできます。また特定期間の人数推移を分析して、運営スタッフの増員や業務負荷の低減など、今後のイベント運営に向けた対策を立てられます。

駅や空港

多くの人が行き交う駅や空港では、最新の混雑状況の把握が必要です。ホームや車内の状況をAIでリアルタイムに監視することで、警備員や担当者へアラートメールを送信し、入場規制のキッカケとして利用でき、事故防止や安全対策に活用することができます。また運行スケジュールの最適化にも利用することができます。

歩行者交通量調査

AI人数カウントを利用すれば、歩行者交通量調査における人手不足や不明確な精度などの課題を解決できます。駅前の交差点では、歩行者の交通量や信号待ちの正確な数を調査し、交差点改良のためのデータを収集できます。また歩行者人数カウントの累積データを活用して、新たにオープンする商業施設の立地条件を判断する材料としたり、商業施設の誘致を行ったりできます。このようなマーケティング目的での利用価値は非常に高いので、今後さらに利用用途は拡大していくでしょう。

ショッピングモール・スーパー・コンビニなどの店舗

混雑を緩和し、感染リスクを抑えるため、店舗内の人数や来店者の動きをとらえることが大切です。例えば、出入り口の通過人数を計測し、店内の人数を正確に把握することで、混雑回避を実現できます。また設定エリアへの立ち寄りの有無が確認でき、入り口で消毒をしなかったお客様に注意を促すこともできます。行列が発生しやすいレジでは、人数の検知や待ち時間を予測し、レジの開放要請の通知や開放アナウンスを自動で流すことも可能です。さらに、暗い場所や夜間でも正確に検知できるため、防犯にも活用可能です。万が一、侵入を検知すると光や音による警告や警備員へのリアルタイム通知が行えます。また人の流れや導線を分析することで、どのように来店客が行動するかを見える化し、最適なフロアプランニングなどに活用することができます。取得したデータは、クラウドに蓄積し分析することで、売上や顧客満足度を向上させる施策に活用できます。

まとめ

コロナ禍の現在、人々の安全を確保するための“人数カウントシステム”は、需要が急増しています。既存のネットワークカメラとAIサービスを連携することで人物カウントが可能になるアプリケーション、数千人規模をAI技術でカウントできるソフトウェア、人数カウント対応のAIカメラ、3D人数カウントカメラ、特定のAIカメラにアプリをインストールするだけで使えるもの、録画済みの動画をAI解析するもの、月額料金のみで利用できるものなど、各種のソリューション、サービス、製品が提供開始されています。また顔認証などの生体認証機能と組み合わせて人物をカウントすることで、年齢・性別などの属性分析やリピート分析、特定顧客の来店通知などを同時に行うことも可能になります。AI技術を活用した人数カウントは、セキュリティやマーケティングで今後も更に活用されていくことでしょう。

アムニモのAIに関する取り組み

当社は、発売中のエッジゲートウェイに、AIチップを搭載したモデルを開発しています。このモデルは、AI解析ロジックとしてONNXのフレームワークに準拠していて、外部の一般的なディープラーニングの環境で作成されたAI解析ロジックを動作させることができます。またAIを搭載したデバイスに対して、AI解析ロジックを配信し、ダウンロードさせることを可能にするプラットフォームも同時に開発しています。

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